津波

こんな夢を見た

日本のどこか、海辺の小さな港町。背後には深い山がぎりぎりまで迫っている。
海岸近くに近代洋風の箱型でしゃれた造りのカフェがあり、
その中、がらんとした店内で、
僕と糸井重里、2人きりでなにやら話している。
糸井は海に背を向ける席に腰かけ、
僕は海を眺めながら、なにやら話している。

とつぜん、天まで届くかのような津波が視界の横幅一杯に沖合いに現れる。
身も凍るようなすさまじいスケールの津波
いち早く気づいた僕は糸井に、「津波です、逃げましょう」と言う。
振り返り見て糸井も「逃げよう」と言う。

店を飛び出し、眼前の斜面を駆け上っていく。すごい急な斜面。
津波、今来るか今来るかとびびりながら
振り返る余裕もなく、舗装された細い農道を、全力で駆け上がっていく。
すれ違う人はおだやかで、一向に逃げようとする気配はない。
「僕らだけですねえ」話しかけるが、糸井の姿はない。
ひとりでどんどん丘を駆け上がっていく。逃げる。

ここまで来れば大丈夫だろう、やっと振り返る。
津波が町を襲った様子はない。
軽く高い波が岸壁に打ち寄せているのみ。
安心して傍らの糸井に「でも見たらすぐ逃げた方がいいんですよねえ?」と言う。
糸井が「そうそう」と言う。

「正解でしたよねえ?」
「そうそう」


天気:雨