怒りながらも丁重な人
こないだ下北の北口、
無印良品の前の狭い道路を通りがかったら、
なにやら騒がしい。
接触事故みたいだ。
緑色のタクシーが一台停まっており、
出てきた運転手に向かって、
白人の外国人のおっちゃん(恰幅の良い、背広を着た講師風)が、
顔を真っ赤にしてわめきちらしている。
「オカネ、ハラッテクダサーイ!」
見るとおっちゃんの足元に、ぐんにゃり曲がった黒いこうもり傘が。
おっちゃんには怪我はないみたい。傘代を請求しているらしい。
とにかくすごい剣幕だ。
続けて、
「ツギハ、キヲツケテクダサーイ! 」
「次は、」てとこでつい笑ってしまった。
怒りながらも相手の「次」がないように、と思いやる丁重な言葉遣い。
こういう場合は母国語でべらべらっとまくし立てた方が、
かえってタクシーの運ちゃんやなんかには効果的なのではと思った。
さらには、「人種で差別するな」といった内容のカタカナ日本語を
矢継ぎ早に連呼していた。
運ちゃんはどうにもなさけない困った顔で、
「はいー、はい払いますよ・・・、はいー、はい」
くぐもった声で、
なすすべなく返事だけしていた。
僕は急ぎだったので、その後どう収束したのかはわからない。
たぶん傘代をいくらか渡して終わりだと思うけども。
天気:曇り(夕方から雨、て噂もあり。)
昼ご飯:これからです、うーんどうしようか。